デザイン経営と経営指針書の密接な関係−その2

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コロナ後の世界で必要なことは?

2019年の11月に発生した新型コロナウイルスの影響は、2020年5月の現在でも速度を緩めず、世界的に未曾有の事態を引き起こしています。
事態の収束は不透明で、いつこの状況から抜け出せるのか、誰にも分からない状況です。
しかしながら、経営者として分かることがあります。

デザイン経営を取り入れ、新しい世界に備える

経営者として、ただじっと収束を待つだけではダメでしょう。
このコロナ後の世界は大きく変化すると予測されています。
消費者や労働者の意識はコロナ前と後で大きく変化しているのは明白で、それに伴いサービスや働き方も変化しています。さらに、教育ですら大きく変わろうとしています。
このような次の世界に対して、自社の商品やサービスを今一度見直し、ターゲットとなるユーザーの行動や心理の変化を見定め、今のうちから準備をしておく必要があるのではないでしょうか?
コロナ後の世界でも活躍できる様に、ユーザーの行動や心理を読み取り、潜在的なニーズを掘り起こせるデザイン経営を自社の経営に取り入れるべきでしょう。


どの時代でも必要なデザイン経営とは

デザインは、企業が⼤切にしている価値、それを実現しようとする意志を表現する営みである。それは、個々の製品の外⾒を好感度の⾼いものにするだけではない。顧客が企業と接点を持つあらゆる体験に、その価値や意志を徹底させ、それが⼀貫したメッセージとして伝わることで、他の企業では代替できないと顧客が思うブランド価値が⽣まれる。さらに、デザインは、イノベーションを実現する⼒になる。なぜか。デザインは、⼈々が気づかないニーズを掘り起こし、事業にしていく営みでもあるからだ。供給側の思い込みを排除し、対象に影響を与えないように観察する。そうして気づいた潜在的なニーズを、企業の価値と意志に照らし合わせる。誰のために何をしたいのかという原点に⽴ち返ることで、既存の事業に縛られずに、事業化を構想できる。

このようなデザインを活⽤した経営⼿法を「デザイン経営 」と呼び、それを推進することが研究会からの提⾔である。

経済産業省・特許庁 産業競争力とデザインを考える研究会「デザイン経営」宣言より

全文はこちら【経済産業省・特許庁-デザイン経営宣言】

このように、2018年5月に国によって発表された具体的な経営に対する取り組みは徐々に周知はされているものの、未だ浸透や理解を得られていないのが現状です。
デザイン=アート=一部の専門的な人のものといった誤った認識や、イノベーションという言葉がベンチャーや大企業だけのものというイメージなどが起因しているのでは無いかと思います。
しかし、デザイン経営を理解する上で押さえておくべき事は下記の3つになります。

「ブランド価値を的確にターゲットに届けるためにデザイン(デザイナーの脳)が必要ということ」

優れたデザイナーはユーザー視点で、かつ多角的にニーズを見極める思考でデザインをしています。(これをデザイン思考といいます。)
例えば、20代女性をターゲットにした自社のメイン商品があるとします。社内のチームだけでマイナーチェンジを行うとすると、過去のユーザーの反応などを鑑みて企画を進めます。青色のパッケージを緑色に変更した時にユーザーの反応がイマイチだったから緑のパッケージはウケないとう認識になります。そこには落とし穴があり、本来この商品は20代女性よりも30代の女性向きで、色の問題ではなく、ターゲッティングを間違っていたという場合があるのです。
過去のデータだけに頼ってしまう思い込みターゲッティングでは、発見できないターゲットやニーズがあるのです。
優れたデザイナーは、商品自体を客観的に捉え、商品の本当の良さやそれを必要とするであろうユーザーを把握する事が出来るのです。

「イノベーションは、新たなニーズと新たな価値を結び付けないと起きないということ」

研究開発による新しい技術や価値があっても、価値を感じてもらえる人(ニーズ)が無ければ意味がなく、また有ったとしても結び付けなればイノベーションは起きないということです。
イノベーションという言葉が、革新的な技術の開発といったニュアンスで捉えられる場合があります。しかし、本当のイノベーションとは、その革新的な技術が実用化され、新しい価値として社会のニーズと合致した時に初めて起こる現象なのです。

「新たなニーズと価値を結びつけるにはデザインの介在が必要ということ」

デザイン思考により新たなニーズの発見ができるデザインは、研究開発による新しい技術や価値を社会のニーズと結びつける架け橋となれます。
まだ世の中に無いが、あったら良いなと思うモノ・コトや、「あっこれはきっと役に立つぞ」とユーザーが思う瞬間、そこには端的に商品やサービスの良さを伝える事が出来るデザインの力が必ず働いています。
すなわち、デザイン経営のデザインとは外見の良さだけではない、その商品やサービスを開発した企業の理念やビジョンを踏まえ、戦略と戦術を熟知した上で綿密に練られた設計のうえでデザインされた、経営指針在りきのデザインという事なのです。

経営にはデザインが必要ということ

「デザイン経営」を要約すると、「他の企業では代替できない自社の価値を確実に届けるには、デザインの力が必要」ということです。
あのスティーブ・ジョブズが「いくら素晴らしいものをつくっても、伝えなければ、ないのと同じ」という言葉を残している通り、いくら社内の研究開発で新たな商品・価値を生み出しても、ニーズを見極めターゲットに届けなければ経営は成り立たないという事です。そして、届けるためにはデザインが必要なのです。

パッケージやチラシを自分たちで作れないからデザイナーに依頼するという意識を止め、自社の価値をニーズとマッチさせてもらうためにデザインを依頼するという意識にシフトし、経営指針・戦略を理解してもらった上で個々のデザイン媒体に一貫してデザインを落とし込んでもらう(ブランディング)。そのためにデザイナーが存在すると理解して経営するべきでしょう。

デザイン経営は、もはやベンチャーや大企業が取り組む課題ではなく、中小や個人でも積極的に経営に取り入れて、新たな価値を創造しないといけない時代ではないでしょうか?
何故ならば、インターネットがこれだけ発達し、またコロナ後の世界では今以上に多くのユーザのデジタルリテラシーが向上し、組織の規模に関わらずネット上でそれらの情報へアクセスされる機会は同じだからです。

経営指針による戦略や戦術があって初めて社会のニーズに合った価値のあるものが作れる

どれだけデザイン経営を理解し、取り入れたとしても自社の理念やビジョン、業界・自社の分析による戦略や戦術が無ければ、それは自社ブランドの強化や他社との差別化にもならず、社会のニーズに合うものは出来ないでしょう。

つまり、デザイン経営を行うには経営指針書の成文化(文字・文章に書き起こすこと)が必須条件となります。前の項で経営指針書の成文化のやり方を載せているので是非確認してから、次の項のデザイン経営と経営指針書の密接な関係をご覧ください。

【経営をする上で必要な、経営指針書とは】
【デザイン経営と経営指針書の密接な関係–その3】



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