デザイン経営と経営指針書の密接な関係−その3

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デザイン経営に経営指針書が、経営にはデザインが必要な理由

まず、デザイン経営と経営指針書の密接な関係−その1で解説しているように、経営を行う上で経営指針書の成文化がとても重要です。
そして、経営指針書が成文化され“他社では代替えできない価値”が明確になったら、それらをユーザー・ニーズへしっかりと伝えないといけません。
その時にデザイン経営と経営指針書の密接な関係−その2で解説しているように、デザインの力が必要になります。
この項では、さらに経営指針をどのようにデザインの力で可視化するかを掘り下げていきます。

デザインとは

デザインには下記の意味合いや成り立ちがあります。

デザインの語源はデッサン(dessin)と同じく、“計画を記号に表す”という意味のラテン語designareである。
つまりデザインとは、ある問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現することと解される。
日本では図案・意匠などと訳されて、単に表面を飾り立てることによって美しくみせる行為と解されるような社会的風潮もあったが、最近では語源の意味が広く理解・認識されつつある。
形態に現れないものを対象にその計画、行動指針を探ることも含まれ、就職に関するキャリアデザイン、生活デザイン等がこれにあたる。

Wikipedia

デザインは個々の製品の外⾒を“オシャレ”にするだけではない。

まだまだ経営者のデザインに対するイメージは、オシャレ・カッコいい・かわいいなどの形容詞で片付けられる、有っても無くてもよいものと思われがちで、経営にとってプラスに転ずる必要不可欠なものであるという認識には程遠い様に思われます。
それには、デザイン業界の受注の仕組みや、大企業=大手広告代理店の仕組みが原因ではないかと考えます。

デザインが正しく認識されない理由

多くのデザイナーが広告代理店からの受注という現状

デザイン経営におけるデザイナーの立ち位置は、経営の内に存在すべきなのですが、多くのデザイナーは、広告代理店からデザインの発注を受け、広告主の会社の経営指針など知らぬままデザインされている事が多いのが現状だと思います。
広告代理店の担当者が、デザイナーに方針をしっかりと伝えた上でデザインが施されていれば良いのですが、優秀なディレクションが実現できているのはごく一部ではないでしょうか。


経営にデザインを

経営指針=成文化、デザイン=可視化

デザインは、「煩雑に溢れる情報をまとめ分かりやすく可視化する(サインにすることで分かりやすくする)」という役割があります。
これと同じように経営指針の成文化も、経営の指針を分かりやすくまとめることで、経営者の頭の中が可視化され、多くの理解をうみ、ベクトルが揃い、経営がより上手く回り出す効果があり、デザインのそれと同じ役割を担うのです。

そして、経営指針は社内に向けてだけの役割ではなく、社外(顧客・ユーザー・潜在的なニーズ)に向けても発信しないといけません。

成文化された文字をデザインの力で可視化し、ユーザーへ的確に届ける。

経営の方針を明確に定める事ができ、指針書を作る事ができれば、自社の強み、
“他社では代替えできない価値”が明確になったと思います。
次に必要なことは、その価値をターゲットとなるユーザーにしっかりと届けるということです。
そして、そこにはデザインの“計画を記号に表す=可視化”力が必要になってきます。
Googleを例に見てみます。

経営理念を可視化

上記は細やかながら「例」で可視化しています。
ホームページや会社案内で、自社を知ってほしい時のキャッチコピーとなります。貴方の会社が社会や人に対して、どの様な役割を担おうとしているか、会社が目指す方向を示す部分であり、貴方の会社の“ひととなり”を表す重要な部分となります。この「経営理念やビジョン」を文字だけで表すのと、デザインを施し表現するのとでは、印象が違って見えるはずです。
デザインはなにも個々の商品やチラシの外見を綺麗にするものだけではないのです。この例を見るだけでも経営に直結していることが理解できるのではないでしょうか?

戦略を可視化

Googleを例にすると、「より多くの人々の、より良い毎日のために。」という「経営理念やビジョン」を実現するために、「ユーザーを守る」「より多くの人に機会を」「多様性の推進」「危機に対応する」「サステナビリティを高める」という戦略が見て取れます。
Google の取り組み
簡単な可視化ながら明確にGoogleが行おうとすることが伺えます。

経営指針を可視化できた上で、個々の商品や製品にデザインを落とし込む

当然、経営指針を可視化しただけで終わりではありません。
戦略に結びつく各サービスや商品を一貫してデザインに落とし込んでこそ、初めてデザイン経営を行えます。

このように、経営から一貫してデザインを施すことで、自社のブランディングが確立し、“他社では代替えできない価値”をニーズとマッチングすることが可能になります。


デザイナーを経営の中へ

以上のようなプロセスで、デザインを落とし込んでいくと、単発でデザインを発注するよりも遥かに、経営指針の策定の段階、もしくは改定の段階からデザイナーに入ってもらい、経営指針や戦略を理解した上で、戦略会議の中でターゲットの選定、ニーズの掘り起こし、商品やサービスの見直しなどをデザイナーと共に行い、宣伝広告を常に戦略的に行った方がより良いことが分かります。

何度も言いますが、
「いくら素晴らしいものをつくっても、伝えなければ、ないのと同じ」というように、いくら良い経営理念や経営指針があっても、社内の研究開発で新たな商品・価値を生み出しても、ニーズを見極めターゲットに届けなければ経営は成り立たないという事です。そして、届けるためにはデザインが必要なのです。


優秀なデザイナー=デザインコンサルタントとの契約を

弊社では、経営指針の作成の段階から経営者の方とお付き合いさせて頂いている顧問先があります。
また、元々経営指針を持たれているお客様とのお付き合いも多数あり、最初のお打ち合わせの時にはまず、経営全体のヒアリングからお話が進みます。
お客様に経営指針の重要性、宣伝広告を戦略的に行う重要性を理解してもらい実践して頂くことで、必ず現状よりも良い経営状態へと導くことが可能になります。
一般的な経営コンサルタントが経営内部の強化であるならば、デザインコンサルタントは内部を理解した上で外部への最適な発信の方法をご教授する参謀となるでしょう。

まとめ

経営にとって経営指針書が重要であり、デザイン経営は経営指針書と優秀なデザイナーの存在なくては成り立たないということです。
デザイン経営を行い、コロナ後の世界でおこる変化に柔軟に対応・変化するには、「社会のニーズ」「人の気持ち」というものを考えて商品やサービスを見直し、的確に発信し届けることが重要だということです。

【経営をする上で必要な、経営指針書とは】
【デザイン経営と経営指針書の密接な関係–その2】


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